風神秘抄＆大河原作本

風神秘抄 上 (トクマノベルズＥｄｇｅ)

風神秘抄 下 (トクマノベルズEdge)

荻原規子氏の歴史ファンタジーものは本当に面白い！これ本当に児童文学？ってくらいに、読み応えたっぷりでした。今まさに私が求めていた題材なせいもあってか、勾玉３部作よりも面白く感じた。勾玉シリーズを読んだのが昔すぎてもうよく覚えてないってのもあるんだけど。人気のある荻原作品なので感想書くのもちょっと緊張しますが、今回は純粋な読書感想ではないので、荻原作品ファンの皆様が万一読んでくださったらごめんなさい。完全に大河『平清盛』に登場する源義朝中心の感想であります。
求めていた題材＝平安末期の歴史物なわけですが、ヤングアダルト向けなだけあってとっても判りやすく描かれていてありがたかったです。だけど決して略したり歪めたりせずに、細かい史実まで丁寧に正確に記されてあって感動してしまいました。平治の乱の戦の様子〜落ちのびる道中〜義平の処刑から頼朝延命〜に至るまでの時間軸が、この小説によってリアルに飲み込めました。後白河天皇も、さもありなんな一筋縄ではいかぬ人物に描かれています。
なにより嬉しいのは、主人公の少年、草十郎こと足立十郎遠光が、源義朝の長男義平の郎党なので、最初から最期まで源氏よりの視点なんですね。義朝も頼もしく勇壮に描かれていてすごく素敵です。郎党への慈しみや父性愛もぐっときますが、その描写のさじ加減が絶妙。あくまでも“もののふ”な頭殿なのがかっこいい。義朝本人の出番は少ないですが、縁の人物もけっこう登場し会話の端々に登場するので、なんだかんだと全編に渡って義朝の存在感は大きいです。青墓の遊の里も舞台のひとつなので、義朝の妻の一人とされる青墓の長者大炊も登場し、テンションあがります。
歴史ファンタジーがお好きな人は是非♪

さて、『平清盛』の原作本が早くも刊行されるようですね。全４巻とのこと。先に読むか、後から読むか。きっと我慢できずに読んでしまうことでしょう。尚、『山本五十六』原作本も出る模様ですが、まだamazonには出ないので後ほど。

平　清盛 一

ついでに、「山本五十六」インタビュー関連が載るようですが、覚書。

FLIX plus vol.8（フリックスプラス）2011年12月号増刊