「二つの枷」と竹野内豊

金曜日に「A-studio」の竹野内豊を見た。そこで竹野内さんが映画でも歌ったという、軍歌「歩兵の本領」をスタジオで歌ったのを見て、おお!と思った。竹野内さんの歌、初めて聴いた。しかも軍歌。なんていうか、じーんときました。
日曜日には映画「太平洋の軌跡」の特別番組をやっていたので、竹野内さん見たさに見た。映画の内容をよく知らなかったのだが、サイパンの話、しかも、タッポーチョ、マッピ、地獄谷etc…という地名が出てきて、思わず食いついてがっつり見入ってしまった。というのも、ちょうどその時読んでた本がコレ↓

ふたつの枷

ふたつの枷

まだ古処さんがミステリを書いてた頃からのファンで、ずっと追いかけているのだが、いつの間にか戦争小説ばかり書かれるようになってしまった。それでもずどんと胸を打つ作品ばかりなので、頑張ってついていこうと思っている。地味だが、淡々とした、怜悧で真摯な文体が好き。まだ若いのに、まるで修行僧のように戦争を真っ向から見つめ、作品を出し続けるその姿勢には頭が下がる。
今回の「二つの枷」は、ニューギニアビルマサイパン、フィリピンが舞台の4つの短編集。どこも激戦が繰り広げられた場所なだけに、シビアな内容ばかり。特にサイパンの話が少々読み辛く、ストーリーに入り込めなくて四苦八苦してたところ。が、映像で当の場所を見るとすごくイメージしやすくて分かりやすくなった。今回も古処さんは良いです。兵士が背負わされる「枷」はとても一言ではあらわせない。そんな兵士達の複雑な心理を、けしてウェットにならずに冷静に切り取っていく。相変わらずすごいなぁと思う。
それにしても現地はいまだに当時の面影が生々しく残ってましたね。竹野内さんが「とても70年前じゃない」といった感じのことを言っていたが、TVを通しても同様の印象。
番組では戦争に巻き込まれた現地で暮らしていた日本人の方が出てらしたが、小説内でも登場するので、当時の状況がよりリアルに感じられた。他の短編の舞台も、以前にNHKの証言特集番組で見たことがあったのがかなり読書の助けになった。
映画の特集番組では、竹野内さんがクランクイン前にサイパンの当時の場所を訪れ、線香をあげていた。また、モデルとなった方の家を訪れ、息子さんに「おやじのために頑張ってください」と言われ、胸がつまったのか言葉が出ず、「誠心誠意…」とだけやっと口にした竹野内さんに泣いた。映画、観てみたいです。