オレたちバブル入行組

オレたちバブル入行組 (文春文庫)

オレたちバブル入行組 (文春文庫)

久々に新規開拓。久々にコンプリートしたいって作家に出会った気分。いやーめっちゃ面白かった。すこぶる読みやすくテンポ良く充実感のある読み応え。いわゆる銀行ミステリって感じかな。真保裕一の小役人シリーズが好きだったのだが、あれと似た匂いを感じる。
主人公である銀行の融資課長半沢が、取引先の計画倒産に巻き込まれ、5億の損失の責任を負わされそうになり、意地とプライドをかけて債権回収を図るという痛快な銀行小説。主人公半沢が単なる良い人ではなく、ドSの毒舌家っぽいヤツなのがかえって魅力的です。
ドラマでいえば「ハゲタカ」というよりは「監査法人」を思い出させる。バブル期に入社した主人公たちの入社当時と今・計画倒産・粉飾決算・債権回収・ドロドロの銀行内幕。いろいろと銀行の内部が知れて興味深かった。
作者の池井戸氏は他にもたくさん銀行・金融小説を出してるようだが、この作品はその中でもとっつきやすい部類の作品ぽい。作者本人がバブル期に入行した慶応OBらしいので、この作品での銀行内部の描写にはとてもリアリティがあります。自分自身の当時ともオーバーラップしたりして、懐かしかったりして。