「平成関東大震災」福井晴敏

なまずが暴れた!わけではないけれど、気になっていた本です。副題にビビリます。作者は『亡国のイージス』の福井晴敏氏。(相変わらず特定の作者ばかり読んでます・・)
いわば、都心で大震災が起きたらどうなりますか?貴方はどうやって自宅に帰りますか?といったシミュレーション本。
主人公のサラリーマンが、たまたま都庁に寄ったその時に大地震が起きた!という設定なのだが、リアルなデータや情報が満載で実用的です。うちも被災したら絶対「帰宅難民」になる家族がいるので、とても他人事とは思えない。また、我が家の防災対策もっとしっかり準備しとかなくてはー!と痛感。
ただ、この本は地震の恐怖や被害の怖さを煽るものではなく、平凡な中年のサラリーマンが、いかに必死に生き延びて、いかなる精神的ダメージを受け、そしてそれを乗り越えていったかといった、ごく普通の人間の心理を主題にしている。意図的にのようだが、文章からはありがちな悲壮感はそれほど感じない。なので大変読みやすい。
「いつか来るその日」に向けて、自分は何ができるだろう?そして大事な問題は、生き延びてからのその先にあるのかもしれませんね。