「KIDS」感想

一言、「面白かった!」。こういう世界観の映画大好きだ。
誤解を恐れずに言いますが、観始めてすぐに、ああ、これは寓話の世界のお話なんだ、と思った。この話はファンタジーだから当たり前といえば当たり前なんだけど。常人離れした美しい3人の若者たち、ステレオタイプの悪役や子供達。最小限の登場人物。山場にたどりつくまでは、間や深みを排除し、絵本をめくるかのようなテンポで淡々と平坦に進む。我々はひょっとして閉ざされた寓話の世界の中のリアルを見ているのかもしれない。そう思って観ると、現実的なリアリティの無さも全く気にならず、素直にこの映画の世界に入り込めた。誤解しないでほしいのですが、誉めてます。
いやあ、この世界観には正直脱帽。こだわり抜いた舞台設定がとにかく素晴らしい。とある海沿いの町の荒涼感。アメリカンな雰囲気溢れるダイナー。寂れた公園。そんな洒脱感あふれる風景に、小池徹平玉木宏栗山千明の3人がはまることはまること!3人とも本当にリアリティないくらいに綺麗で。まるで描かれた絵を見ているかのようだった。
でも3人とも演技に関してはとってもリアルだった。非常に上手かった。このキャスティングがあったからこそ、寓話がリアルに生きる。パンフで監督が言われていた言葉に非常に納得。ファンタジー世界に負けない風貌、かつリアルな演技ができる3人だからこそ成立した映画だと思います。今までの作品で言えば、「殴者」もタイプ的にそういう系統かもしれない。美的要素を最大限に優先し、独特の世界観を構築している感じが似ているな、と思った。
それにしてもこのタケオ役の玉木は本当に格好いい。格好いいを通り越して怖い。そこがいい。やさぐれた悪っぽい風貌や仕草がこんなにサマになるなんてねぇ。喧嘩シーンもすごく迫力あった。もう、すっかり魂ひっこ抜かれてしまいましたよ。
ストーリーにも癒されました。途中からかなり泣いた。鳥肌が立つような珠玉の台詞もいくつもあった。
ホントに良い映画でした。終わってしまうのがとても惜しかった。2時間があっという間でした。

Firefly~僕は生きていく

Firefly~僕は生きていく

この曲も映画にピッタリ。気がつくと口ずさんでいる今日この頃。