第1回

いや−、これは実験作ですね!「世にも奇妙な物語」を全10回でやろうとしているかのよう。面白かったです。奈良が舞台だというので、まったりほのぼの風味かと思っていたのに、予想以上にミステリアスなムードに驚きました。原作にもかなり忠実。コメディと銘打ってましたが、今のところコメディというには奇妙さのほうが勝ちすぎてて、笑うのを忘れちゃう感じ。鈴木雅之作品らしい個性的なカメラワークが面白い。ただ、演出のテンポが単調なのか、脚本にメリハリがないのか、クライマックスにたどり着くまでのエピが地味すぎるのか、途中ちょっとだらけた。
が、後半、小川と藤原くんが若草山に登って、小川が藤原君の気づかいに気がついたあたりから俄然面白みを増してきた。小川先生が不運なばっかりじゃないんだってのが判っただけで、こっちまで気が軽くなる。「奈良はいいところだね」と言う玉木宏の横顔がとても印象的。被さるように壮大なBGMと美しい奈良の風景、そして穏やかにたわむれる鹿。素敵なシーンでした。
まあ、その後、さらに小川はどん底に落とされるのですが、ノイローゼ一歩手前の玉木の風貌が真に迫ってました。あれは上手かった。
で、ついに喋る鹿との遭遇!いやあ、ここまで来るのに長かった。やっと物語が動き出した。
そして驚異のエンディング。これには度肝抜かれた!EDの入り方とEDの壮大な音楽、風林火山も真っ青な走る鹿の群れ!いやーカッコイイー!最高だ!
玉木宏はこのヘンテコな世界に合ってる。千秋の面影を見事に消し、運のない男を繊細に演じている。ただ、これは演出の問題だろうが、不運なエピがたたみかけるように出てくるけど、それが笑えず、見ているこっちまで欝になってしまうのはちょっと辛かった。その欝加減は見ていて滅入ってしまうが、藤原くん(綾瀬はるか)の能天気キャラが側にいることによって、かなり救われている。この欝っぷりは初回がマックスで、次回からはそうでもないと思うしね。
どうやら一般受けしそうにないマニアックなドラマですが、クオリティは高い(鹿のCGは最小限にしてほしいが。物語が動き出す来週からどんどん面白みを増すんじゃないかな。楽しみだ。