総評のようなモノ

今年一番面白かったドラマ。(ハゲタカも良かったが、尺が違いすぎて甲乙つけられない)
序盤〜海ノ口の攻防、信虎追放までのオリジナル部分が最高に面白かった。板垣亡き後はドラマ自体の緊迫感が若干薄れ、終盤の川中島の戦い付近で間延びしてしまったのは残念。やはり1話増やしたのも良くなかったんじゃないかなあ。けど、全体を通してみるとものすごく質の高い大河だった。ロケを多用した映像も見ごたえあったし、戦部分では謀略や戦略の見せ方がゾクゾクするほど面白かった。
勘助を演じきった内野聖陽は凄かった。若い(とまではいかないが)プー太郎時代から老練な軍師まで、見事に声のトーンを使い分け、コミカルさも重厚さも悲哀も渋みも自在に表現し、清濁併せ持つ山本勘助の複雑なキャラを見事に演じ切った。宗方コーチの時も絶賛したものだけど、今回の内野さんの入魂の演技は「凄い」の一言に尽きた。彼のある意味スタンダードな演技があったからこそ、信玄の市川亀治郎さん、謙信のGacktさんという畑違いの人材の良さも引き立った気がする。亀治郎さんの信玄は時々吹き出しちゃう部分もあったけど、後半はなかなか良かったと思うし、Gacktさんはかっこよかった。発声がしっかり時代劇していたし、カリスマオーラはさすが。
平蔵がうざキャラになってしまったのは可哀相だった。が、最終回で矢に傷つきながらも必死にヒサの元に帰ろうとする姿には心をうたれた。それをおふくが見つけるというのも希望ある終わり方で良い。
でも、最終回で一番泣かせてくれたのは、伝兵衛と太吉でした。伝兵衛が勘助を背負いながら「山本―――勘助に―――ございます――!!!」には、もう・・・。同時に太吉も・・・!!この2人を見ていると一番、このドラマを1年間見続けてきたんだな、という感慨におそわれる。伝兵衛、太吉の葛笠村コンビ(+ミツやん)はこのドラマのスパイスであり、癒しでした。もう大好きでした。
そしてラスト、1話と同じ花が映し出され、そしてミツのセリフがリピートされた時には思わず鳥肌が立った。なんて味な演出!このドラマでのミツの存在はすごく大きかった。たった3話しか出なかったのにね。影のヒロインはなんてったってミツやん。「おら戦が見てえずら」というセリフが忘れられない。
まぁ、2,3の例外はいたけれど、キャストも適材適所だった。駿河寿桂尼藤村志保)、今川義元谷原章介)、雪斎(伊武雅刀)トリオは最高だったなあ。武者震いの瀬川亮くん、篤姫にも出てくれないかなー。彼に中岡慎太郎やってほしいなー。もう少し鋭さが必要?あーあ、篤姫も面白いといいなあ。