大河ドラマが帰ってきた

18話以降というもの、『平清盛』がめちゃくちゃ面白いですねー!
特に今回の20話は圧巻でした。
これをずっと待っていたんだよう〜。ポイントポイントでは素晴らしいシーンもあったものの、それは役者の演技のお陰的な印象が強く、全体的には平坦でうねり感の無い、うすらぼんやりしたスケールの小ささが不満だった。
でも、保元の乱を前にして、ようやく間に合ったという感じ!しかも、「風林火山」以来、どこかに雲隠れしていた「大河ドラマ」として、ちゃあんと帰ってきてくれた〜!あああ、武者震いするのう〜
20話、良かった。本当に良かった。保元の乱直前の風雲急を告げるビリビリした空気感が最高でした。こういう風に戦を前にして俄然高まる緊張感や高揚感(ってのもアレですが、やっぱ戦の前はこうでなくちゃねー)を大河ドラマの画面で味わえるなんて、本当に何年振りかなんだもん。
しかもね、登場人物たちがちゃんとその時代の価値観で生きてるのが嬉しいですね。特に由良!かっこよかったなぁ〜。極道の妻とはこうあるべき、みたいなのがね、それを黙って受けて立つ義朝。かっこいい夫婦でしたねー。
それに、正直今まで『清盛』では一度も泣いたことなかったのだけど、今回の源氏パートには鼻の奥がツーンとなった。為義、通清、正清、そして義朝…それぞれの台詞、そして皆が皆、揃いも揃ってツンデレで無骨な情感の出し方が素晴らしすぎた。この、ストレートで甘甘じゃないのが今回の大河の脚本演出の素晴らしいところなのね。
そういえば、この20話では、メインキャスト4人が(久々なのか初めてなのか判らないけど…)揃ってましたね。20話まで見てきて思うのは、この4人の中では、玉木宏氏と松田翔太くんが抜きん出てはまり役だったということ。
玉木宏の無骨で猛々しい武士の棟梁役というのは、絶対はまるのは予想してたけれど、いざそれを目の当たりにすると圧倒されまくりですね。なんかもう義朝が降りてきている印象。若者時代は体つきもほっそりとさせ声も若々しい発声だったけど、年を重ね、棟梁としての立場を背負った現在、体格もたくましく野太く重低音の怒号を発し、陰影のある奥深き表情をにじませるように。さすがです。まぎれもなく玉木氏の真骨頂。
松田翔太くんの後白河は…これは予想以上の素敵さです。ここまでしっかり自分のものにしてくるとは!松田翔太恐るべし!後白河の持つエキセントリック・高貴・ナイーブ・潜在的な恐ろしさ不気味さ…本人の持ち味と絶妙にマッチングしてる上に、ご本人の演技プランもすごく好み。
次に藤木氏の西行ですが、ご本人は大変好演していると思うのですが、いささか脚本的に恵まれてない印象。ここまでこんなに出番が少ないとは思わなかったし、義清時代の退場の仕方もなんだかなーな感じで。せっかくの狂言回し的自由さのある役どころなんだから、もっと上手に話しにからめてほしいものです。
そして主役の清盛。はっきり言って、先週まではちっとも感情移入できずにいましたが、今週になって、人が変わったかのように清盛の悪の魅力が出てきた感じ。遅すぎるし、唐突過ぎるよー! 脚本さんはひょっとして清盛が苦手だったんじゃなかろうかってくらい、何かと雑な人物造型でしたよね。松山氏の演じ方も正直迫力不足でした。若者時代のふにゃけた清盛…もったいなかったです。でも肝心な保元の乱にはどうやら、したたかなブラック清盛が間に合ったようなので、もういいです。これからこれから。
その他のキャストもみんなはまり役で…。これだけキャストがどんぴしゃりって大河は本当に珍しいっすよね。

平 清盛 後編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)

平 清盛 後編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)