#7 光らない君

前回とはガラリとテイストの違う回。良い大河の場合、盛り上がりすぎた回の後には、得てしてこういう風に「ギャップを楽しめ」的な展開が来たりしますよね。(悪い大河の場合はどこまでも一本調子、もしくは箸休め回ばかり…)
例えば「新選組!」の山南さん切腹→次回「寺田屋大騒動」とのギャップは凄かったよなぁ〜。こういう落差を作るからこそ、前回の大掛かりな活劇も生き生きと鮮やかに記憶に残っていくのでしょうね。現に今回を見て、「前回も悪くなかった」と再認識できました。でもって、今回のノリも嫌いではありません。笑えたし、最後にはちゃんと締めてましたしね。「新選組!」を引用ついでですが、『平清盛』ってやっぱり『新選組!』タイプの大河な気がする。大胆かつ繊細な群像劇、主人公の成長の仕方、山場の持って行き方。過去の新選組の山南切腹後の拙感想よりいくつか。

  • 放映当初はあまりにのんびりで、青臭くて、先の展開がとても心配だったものだ。あの、近藤土方の青春時代(?)を見てたら、今後起きる怒涛の悲しい展開なんて想像つかなかったもんなぁ。ずいぶん遠くまできちゃったんだね。
  • しかし、前回と今回の正反対の究極っぷりは何なんだ!どっちの回も大河の歴史に伝説として名を残すかもしれないな。このくらいの思い切りの良さで。最後まで突っ走ってもらいたいものだ。
  • さ、散々笑わせてもらった後は、修羅の道をまっしぐら。粛清の嵐もさることながら、鳥羽・伏見の戦いをどう描くのかが、もっかの一番の興味。

とまあ、青臭いのは自分だろ!みたいな、こっ恥ずかしい感想が書いてありました。『清盛』でもこういう醍醐味を味わいたいものです。
さて、今回いきなり始まった、「今日の見どころ」プレマップでも始まったのかと思わず時計を見てしまったではないか。これはひょっとしてテコ入れ?でも、これを急遽入れたせいで本編のどこかをカットせざるを得なかったとしたらそっちの方が残念なのですが。現に、かどうかは判りませんが、アバンは思い切りダイジェスト風味でした。盛国誕生のいきさつはもう少し長く見たかったな。
時子による「源氏物語」朗読は、上手でしたね。脚本藤本さんの思い入れ深そうだ〜と思いつつ、でも少々長かったかな。歴史秘話ヒストリアと見まごうような絵入り付なのは斬新でしたが、自分は源氏物語は「あさきゆめみし」程度しか知らないもので…(汗)キャラ発表の時にもっとも不安だったのが、源氏物語好きという時子だったのですが、源氏物語とのからみの部分、あんがいあっさり終わってよかったです。
柘植さんの人物デザイン解説によると、忠実はムラな白塗りが好み、というのに笑ってしまいました。でも効果は抜群!異様な迫力が出てますよね。あとは時子たちの「湯巻き」本当にめっちゃ可愛いです。清盛もさっそく長い烏帽子をかぶるようになって、落ち着かないという風にひもをいじったりしてましたが、去年の秀忠を思い出してしまうからやめてー。邪魔ですぐ脱いじゃうのもハラハラしてしまうのですがー。
宮中パートは相変わらず激しかったですねー。平安モノならではの美術と照明がいつもいつもお見事です。
ARATA改め井浦新崇徳天皇、役作りが既に徹底されていて素晴らしい!歌の詠み方もさることながら、「義清、次はいつ参る」の、いかにも高貴な発声・イントネーションにゾクゾクいたしました。嵌ってますねぇ!本当に今年の大河は役作りに徹底してらっしゃる方々が多くて楽しめるわー(次回からの頼長もきっとその一人)
またまた今回も素晴らしいロケーションを堪能できました。時子たちが歩く何条もの光差す竹林も綺麗でしたが、清盛と明子が話す瑞々しい緑の中の古びた石橋が素晴らしすぎた!このドラマは緑の草木の効果的な使い方が飛び抜けて上手ですね。今回は渡辺Dの演出の回でしたが、印象的でコントラストの強い演出が好みだわー。月光の下で琵琶を弾く明子の姿とか、鳥肌モノでした。
さて、義清に文を代行してもらい、返事をもらって読む清盛の一連の言動が、もう可笑しすぎ!!いちいち語尾を大げさに上げ、目を剥きながら下手糞に詠む清盛、義清にかわされて横っ飛びにぶっ倒れる清盛、もう最高!「断られておるではないかー!!」この台詞のセンス素晴らしすぎです。
ラストの平家の面々のそれぞれの心情表現がまた見ものでした。台詞に表わさなくても何を考えておるのかがよく判る。特に忠盛。忠盛が口ずさむ「遊びをせんとや〜」は、今まで流れた中で一番切なく心に響きました。あれを聴いたら、宗子も穏やかにいられるはずありませんね。

来週は山本耕史@頼長の登場です。「徹底して、粛正致します」…うわー!鬼の副長時代を思い出すぜ!
そして野人と見まごうばかりのワイルド義朝の雉狩りがお目見えです。究極に汚れたその姿がより一層男っぷりをあげてくれそうです。前にも書いた気もしますが、矢をつがえながら立ち上がる後姿の演出、かっこよすぎですよねぇ〜ああ楽しみ。