『大河ドラマの50年』鈴木嘉一

大河ドラマの50年―放送文化の中の歴史ドラマ

大河ドラマの50年―放送文化の中の歴史ドラマ

これは面白い!大河ドラマ50年の歴史を、一作づつ関係者の証言や当時のインタビューなどを加えながら紹介…というよりかは考察していく内容で、その時代の日本の情勢とのつながりや当時のNHKの内幕、ドラマ内容の新しい試み、揺り戻しなどの流れが客観的に描かれている。これまた大河ファンにはたまらない本ですねぇ!
読んでいると、けっこう大河ドラマに対しての先入観が覆されたりする。今でこそ女性や若い子達に迎合したり視聴率ありきの制作姿勢だったりするけど、多かれ少なかれ、昔も視聴率獲得は大目的だったのだなと。ただ、今ほど苦労せずとも視聴率がとれていたので、それほど表立っていなかっただけなのだなぁ。
それにやっぱり、年長者が多く見てくれた昔は、堂々と戦やチャンバラを多用できたんでしょうね。歴史ドラマとしての側面をどれほど重視するか、とか、戦シーンの重要性をどれくらいのレベルにするかもほんと作品によって千差万別だったのかもしれませんが、総じて昔はやはり基準のレベルが高かったのでしょう。
また脚本の重要性が改めて痛感できました。プロデューサーの手腕と意識も同様ですね。また、エンタメ性は開始当初から大事にしていたっぽい。途中、判り易さ度外視の難解作品もあったようだけど、大河ドラマの基本はやはいエンタメ性なのかも、と再確認できたり。
ただ、歴史の捏造やご都合主義、やけに現代的な脚本などには、そういった声もあったとそれとなく言及しているのが面白いです。読み進めていくと、著者がどの作品に高評価を与えているか、なんとなく判ってきたり(笑)

読んでると、今の世の中では、骨太で重厚な路線は作るのはなるほど難しいのかな…と思ったりもしますが、私は諦めません!って自分が頑張ってもどうしようもないのですが、大河の原点を主張した磯Pの発言を信じて、『平清盛』には期待します。


ここからは余談ですが、何度も書いてますが、自分は大河ドラマは『新選組!からしか見てません。今になってスカパーでの再放送やリマスターされた昔の大河を見たりしてますが、基本的には大河には新参者。なぜかというと、うちの両親は大の野球好きで、日曜夜は必ずナイター中継を見させられたのだねー。おかげで当時の選手や野球のルールにすっかり詳しくなった(笑)。母親には私の同級生達が活躍する中学地区大会に連れて行かれたり、父親には高校野球地区予選に連れて行かれたり。あげくに報知新聞までとってた我が家。どんだけー。男兄弟もいないのに、子どもの頃はすっかり野球一色の家庭環境でした。
玉木ファンになって間もなくの「新選組!」製作発表で、玉木くん出ないかなーと思い始めた頃から、私の大河歴は始まったのです。それまでほとんど見てなかったドラマ鑑賞も同様に。やっぱ玉木宏ありきだったわけですね(笑)。だからこうして3度も大河ドラマに出てくれるようなこの現状は本当に感慨深いし、無条件に楽しみです。