源氏と坂東武士
- 作者: 野口実
- 出版社/メーカー: 吉川弘文館
- 発売日: 2007/06/01
- メディア: 単行本
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いささか興奮しつつ読み始めてみると、予想通り、本の約1/3ほどを義朝に費やしてくれている。生い立ちから始まって、いかに義朝が政治的・武力的に坂東を支配していったか、そして京に進出していったかが、分かりやすく述べられている。また、元木氏の本の引用も数多く紹介されている。(とある雑誌に掲載された元木氏の「源義朝論」が読みてー!)
とにかく文の端々から義朝の功績にたいする尊敬の念が伺えるのが何より嬉しい。平清盛への嫉妬心をやたら強調したり、政治的には無能であったとか、女にだらしないとか、ただの頼朝や義経の父扱いだったりとか、無能な信頼と組んだ負け犬呼ばわりだったりと、義朝を下げている本もかなりあるが、どれもこれも偏見だったり脚色だったりするんだな。そういった既存の義朝像を見事に覆し、「武家の棟梁」として自立した立場を築きあげ、鎌倉幕府成立の道筋を開いた人物として研究・紹介してくれている貴重な書だと思う。
実際は他の方々の著書も数冊読んでみたりしているが、古い意見のままだったりするのが多いので、あえて記事にはしてない。野口氏と元木氏の本だけ読んでれば義朝的にはOKな気もしてきたので、お二人の本を中心にいろいろ読んでみて、気に入った本を買っておこうかなと思う。