深く静かに潜航せよ

1958年のモノクロ作品。クラーク・ゲーブルバート・ランカスターという二大スターの共演する潜水艦映画。面白かった。あくまで私見ですが、潜水艦モノの醍醐味というのは、静寂がもたらす緊張感にある。それがこの映画でもいかんなく堪能できた。お互いが無音潜行しつつ相手の出方を身動きもせず伺うシーンなんて鳥肌もの。「レッド・オクトーバーを追え!」や、「クリムゾン・タイド」でもそうだったけど、この映画でも艦長と副艦長との葛藤が出てくる。潜水艦というのはクルーたち全てが運命共同体的なだけに、ことさらにそういった心理劇が生きてくるのかもしれないな。だから…というのもなんですが、潜水艦映画というのは地味でいいんです。普通の戦争映画のように、テンポとか迫力とかを求めなくていいんです。淡々と地道に職務を全うするクルーたち、密室の人間関係、それだけでじゅうぶんストーリー性がある。そこが好き。