風林火山

風林火山 (新潮文庫)

風林火山 (新潮文庫)

大河ドラマでは現在原作部分の序盤を過ぎたあたりなので、今読んでちょうど良かったと思う。
既に山本勘助内野聖陽がすっかり刷り込まれているのだが、原作では勘助は、ドラマよりももっと小男で異形の様相が強調されている。でも不思議とイヤにならない。勘助は最初から初老で、終盤はすっかり老人なのだが、晴信や由布姫、由布姫と晴信の子勝頼が大好きでしょうがない。そして勝頼に武田家を継がせ一城の主にしたいという老人の夢がストレートに描かれていてなんともすがすがしい。そう、この小説の隠れテーマは「老人の夢」なんですねーどうみても。ドラマでもそうだが、老人なのに、勘助は大変エネルギッシュで行動家なのに舌を巻く。内野勘助のあの暑苦しい演技(褒めてます)は、あながち誇張ではないようだ。このように、原作でも勘助は結構好感の持てる智謀家なのだが、ドラマでは内野聖陽が演じることによって更にワイルドでカッコよくなっているし、第二章に入ってずいぶん落ち着きと威厳がでてきたものの、明るい情熱家なのは健在なので感情移入しやすいし、見ていて気持ちが良い。このキャスティングはぴったりだったんだなと思う。
さて、由布姫。こんなに気の強い姫だったのね。これなら柴本幸さんの容貌はしっくりくるかもしれない。ただ、気が強いだけではなく、勘助を圧倒させる神々しさ、美しさ、透明感、時折見せる凄みまたは狂気・・これをしっかり表現してくれたら嬉しいものです。
於琴姫。キャストはまだ発表になってないのかな。由布姫と対をなすような存在の於琴姫にはやはり柴本さんとは別方面のおっとりした魅力の女優さんに来てほしい。
上杉謙信。小説は勘助目線からしか描かれていないため、謙信の言動はあまり出てこない。ただ、若くして道義を重んじ、知性豊かなカリスマ的存在なのはよく分かった。6月くらいから登場なのかな?小説でも半分くらいしてやっと出た(初登場時は18歳だ!)。でもGacktだし、ドラマでは小説よりも出番は多いだろう。小説以外に謙信の知識はないのだが、Gacktはイメージに合っていると思う。楽しみだ。

正直、時代小説も井上靖も苦手だが、これは『氷壁』よりも面白かった。この2作に共通する感想は、女性の描き方が独特すぎるってこと。美那子にしても由布姫にしてもクセがありすぎるんじゃないのか?そういえば「額田女王」は過去に読んだ。天智・天武両帝の愛を受ける額田女王大和和紀の漫画「天の果て 地の限り」が大好きでした。

録画はしたものの、まだ今週の風林火山見てない。最近妙に慌しくて、やらなくちゃならないこと山積み。4月いっぱいは更新ままならないかもしれません。