「氷壁」井上靖 読んだ

氷壁 (新潮文庫)

氷壁 (新潮文庫)

井上靖生誕100年ということで、再来年の大河ドラマ井上靖の「風林火山」、それに先駆けて来年の1月、NHK土曜10時からの連続ドラマで、この「氷壁」が放送されるそうです。
出演は、玉木宏鶴田真由山本太郎武田真治吹石一恵高橋克実伊武雅刀吉行和子石坂浩二 等。
玉木宏初主演ドラマはなんと、骨太な山岳ドラマ。意外でした。ですが、こういう古典的な文学作品、しかもクライミングという技術と体力を要する作品に挑んでくれるのは嬉しい限り。多分結構渋く硬いドラマになりそうですが、非常に楽しみです。

で、さっそく原作を読んでみました。

自分が生まれる前の作品ということもあり、その時代設定が興味深かったです。特に女性の話し方がなんとも古風でコソバユカッタ(笑)。「ちょっと人を待っておりますの」とかね!
ですが、作中の登攀シーンの緊迫感は凄かった。山登りの精神というものは時代を超えるんでしょうね。なんというか、本当の登山家でしか到達し得ないような精神の域、というものに畏怖を覚えました。
主人公の魚津の勤める会社の上司常盤大作は、魚津のよき理解者でもあり、非常に人間味あふれる良い上司ですね。作品中一番のお気に入りです。常盤大作と魚津のやり取りは大変読み応えありました。