第4回 裁かれたプライバシー

玉木宏 山本太郎 鶴田真由 武田真治 吹石一恵 相島一之 石丸謙二郎 寺田稔 矢島健一 高橋克実 吉行和子 伊武雅刀 石坂浩二

凄いドラマだ。
ざっと上に主なキャストをあげたが、誰一人として無駄な役はなく、それぞれが、主役並の重い存在感を残した回だった。
今までの伏線も一気にここで回収され、意味をなしてきている。
同時にまた、今後への暗示もいろいろと提示されていた。
山のシーンは一つもないし、むしろ「つなぎの回」の地味な話になるか、あるいはメロドラマの様相がぐんと際立ってくるのかと、危惧してたのにね。
そうはならず、むしろ、今までで、一番複雑な、重量感のある回に仕上がった。
脚本の良さと、落ち着いた演出、役者の演技力、重厚感と透明感併せ持つ素晴らしいBGM、全てが上手くかみ合っていたと思う。


奥寺が筋を通そうとすればするほど、敵味方関係なく、周りの人々が不幸になっていく。その因果にぞっとした。誰一人悪くないのに。
今回は、奥寺のセリフは少なめだったが、衝動的に工事現場の塔(?)をクライミング(!?)しちゃうくらい、追い詰められて動揺しているのがよくわかった。
終始、綺麗な、寂しい目が印象的だった。
できることなら、美那子には走らず、どこまでも北沢への友情と、山を孤高に目指してほしいというのが、一視聴者の理想だ。
だけど、展開を見ていると、美那子に気持ちがいくのも仕方ないとも感じる。
玉木宏は本当に、よく頑張ってると思う。すでにこのドラマでは奥寺にしか見えない。


同様に、追いつめられていく美那子を、鶴田真由は好演していた。今までで一番綺麗だった。
最後まで自分を理解し、自分を考えてくれてるのは奥寺しかいないって状況だもんなぁ。そりゃあ、家も飛び出しちゃうよなぁ。
「山に行きませんか」くー!玉木くん、素敵な声だったなぁ。あんな声で囁かれてみたいよ。


山男の歌も良かった。
お互い歌い終わってしんみりしちゃうゆかり(吹石一恵)と秋子(吉行和子)。
「奥寺さんはいい人だけど、ゆかりを幸せにできる人じゃない」と言い、席を立つ秋子。泣けます。


森脇(石丸謙二郎)の偽証は、見ていられませんでしたね。本意ではなく言わされてる、という苦渋の表情が絶妙でした。
その後の奥寺への懺悔。人生においても山においても大先輩なのに、奥寺に土下座してあやまるその姿は、涙無しでは語れません。
奥寺君のように、まっすぐに生きてみたい。だが、守るものがあるとそれができないんだ・・というセリフが印象的です。


まったくね・・こんなに良いドラマなのに、放送時間がずれたりするわ、来週は一週休みだわで、NHKさん何考えてるのかわかりません。これほどの力作なのだから、オンエア前のように、もっともっと宣伝して、どんどん再放送すべきです。DVDももちろん要望したいです。どうかどうか、NHKさん、頼みます。