新・平家物語総集編上・下

1972年の大河ドラマ。今から40年前ですが、超豪華なキャストで、重厚で品のある、古き良き時代の大河ドラマといった格調を感じました。今の時代ではこういった作品はもう無理なのかな…。大河ドラマについては新参者の自分がいうのもなんだけど。最近の大河ドラマのトンデモぶりを見るにつけ、製作陣の質や志の低下が根源なような気がしてなりません。来年の『平清盛』は、“特に”今年の大河を反面教師にして、原点回帰して見ごたえのあるドラマ作りを作ってもらいたいと切に願います。少なくとも、地味ながら硬派で堅実なドラマ作りをされる磯Pと、あの『坂の上の雲』の演出もされた柴田Dは、コメントからも実績からも信頼できそうなのが嬉しい。音楽もクラシック畑からの吉松隆氏なのはわくわくする。(氏のブログでロケハンの様子が読めます) 唯一、オリジナル脚本であることが少々不安です。『ちりとてちん』は見てなかったので、どういった本を書かれるのか予想がつかないのですが、脚本家さん、願わくば、思い切り硬派で大人の本を書いて欲しいです。
さて、『新・平家物語』に戻りますが、清盛役の仲代達矢。迫力ありますね〜。眼力ハンパ無い。40歳の時なんですね。そうみると、松ケンの清盛というのはやはりかつてない若き清盛になるんだろうな。頑張れ!時子が中村玉緒なのには驚いた。来年は、時子は誰になるんでしょうね。
で、源氏の棟梁源義朝木村功。若く見えるお方とはいえ、49歳時ですから、かなりおじさんな義朝である印象はまぬがれないです。実際は享年38歳だし、清盛よりも5歳下なのにねー。この方、『七人の侍』と『人間魚雷回天』しか見たことないけど、今で言う草食系の二枚目俳優な印象を勝手に持ってました。だけど、お声がとても高いせいか、品はあるけれど、少々甘くてスマートな義朝でした。源氏の御曹司ですから品はあってもいいのかもしれませんが、坂東育ちであるがゆえに京都では浮きがちな、粗野で勇猛な傭兵のボス的な側面を前に出してもらったほうが好みだな。
常盤御前には若尾文子。現在朝ドラ『おひさま』にも出てらっしゃいますね(主にナレーション)。常盤をされたのは39歳ぐらいですね。美しいし、上品で素敵な常盤でしたが、来年はやはり、若くて超絶に美しい女優さんにきて欲しいなー。だって、15歳くらいで義朝に見初められ。23歳くらいで未亡人、と言われてますよね。いっそ、来年出ると噂のある武井咲でもいいんだけどな。台詞は最小限にしてもらって(こら!) 義朝といえば、常盤との逢瀬も大事な見所。しっとりとした大人なシーンをお願いしたいです。とすると武井さんでは厳しいかなー。『義経』当時の稲森いずみに戻ってきてほしいわ〜(無理です)
TBSチャンネルでやってた松平健版の『平清盛』もまた見ましたが、義朝役の夏八木勲は、渋かったです。が、なんとなく大人しめな印象。出番も少なかったし、史実どおりの亡くなり方ではなかったので、判断材料にも乏しいのですが。53歳の時のようですから、父の為義とそう変わりないくらいおじさんでした。とすると、大河『義経』での加藤雅也は、かなり史実に近い年齢だったと言えますね。
そう考えると、義朝にとって山場である保元の乱(義朝33歳)を、実年齢に近い玉木宏が演じるというのは、かなりまっとうなキャスティングなのかもしれません。体もがっちり大きくたくましくしてきてますし、坂東武士の棟梁としての押しも押されぬ貫禄と威厳、そして、あの重い重い大鎧をつけての騎乗や殺陣にも負けぬべく、既に準備は着々と進んでいるのでしょうね。あの腹から響くような低くて太くて深みのある時代劇にうってつけの声と、冷酷さと慈愛を自在に表現できる眼力、最近ますます体中からにじみ出る渋み、龍馬でも見せてくれた切れ味するどい所作。玉木の頭殿は絶対はまりますよ〜。ある意味、マフィアのボス的な立場でもある当時の武士の棟梁を、まんま描いてほしいです。