『遺恨あり〜明治十三年最後の仇討』と武士道精神

遺恨あり〜明治十三年最後の仇討 公式サイト
武士とは何か。
武士道とは何か。
ということをしみじみ考えさせられたドラマでした。
もともと武士という存在には無条件に弱い。滅び行く武士…切ないのう。このドラマでは武士制度の否定もテーマのひとつなんだろうし、近代化には不可欠な条件だったんでしょうけど。山岡鉄舟西郷どんの悲報を聞いて、ぷるぷるしてたのが印象的。『ラストサムライ』を思い出します。
武士の精神、その教えの多くは日本人の特性を表し、道徳の指針となるべきもの。国民の品格を守っていくためにも、この日本独自の思想は失いたくないですよねぇ。

六郎(藤原竜也)と山岡鉄舟北大路欣也)との立合い、六郎と一瀬(小澤征悦)との仇討ちシーンは手に汗握る臨場感。殺陣はこうでなくっちゃね。皆さん凄まじかった。藤原くん、やるなぁ。「この役は誰にも渡したくない」的なことを言っておられましたが、良い役を得られて良かったですね。今まで苦手だったんですが、その頑張りには敬服します。
小澤さんがいつになく(失礼!)凄くかっこよかった。特に維新後の洋装姿が男臭くもあり上品でもあり。我が子に諭すシーンにジーンとしてしまいました。
脚本は後藤法子さん、源孝志さん*1。抑え目ながら、要所要所で効果的な台詞の数々。ストレスのたまらない良質な脚本って、こういう作品のことを言うんだなと実感します。
音楽は溝口肇さん。綺麗で印象的な音楽でしたね。昔から好きでしたが、今回もさすがでした。
テレ朝のSPドラマは本当に良い仕事してますね。『警官の血』『点と線』に続き、これも保存盤決定!後は『刑事一代』の再放送もよろしく!


こじつけ気味になるけど、玉木宏が出ている作品にも武士道精神はいろいろ見られましたよね。代表的なのはやっぱり『敵は本能寺にあり』の、信長の尊厳に満ちた立ち振る舞い。『真夏のオリオン』の艦長同士が見せたフェアプレイ精神、等々。『ギルティ』は、真島も芽衣子も、そして作品そのものが武士っぽかった。
実は玉木くん自身が武士道ちっくなところがあるんですけども。克己、礼節、忠義…とりわけ彼の、己を律し、我慢を重ね、自分を磨く、といった“克己心”は秀でていますよね。それを表に出さない、無駄に自己主張しないのも、“武士は食わねど高楊枝”的。そういう姿に惹かれてやまないのです。

*1:最初、大森寿美男さんと書いてしまってました。すみません。訂正しました。